研究概要 |
ラットCC14投与後endotoxin誘発肝不全モデルでTumor necrosis facter-alpha(TNF-α)とNitric Oxide(NO)産生が肝毒性の発現に重要な働きをしていることが報告されている。一方、肝切除後は、腸管からのbacterial translocationや腸内細菌由来のendotoxinによりKupffer細胞がprimingされているため、ごく少量(non-lethal doses)のendotoxinにより肝不全に移行することも知られている。これらの知見から、ラット肝切除後endotoxin誘発肝不全モデルで、TNF-αとNO産生の関連を検討した。 肝切除(2/3切除)48時間後にLPS(0.2mg/Kg,i.v)を投与したラットモデルを作成し、肝組織血流や肝逸脱酵素(GOT,GPT)、T.Bililubin(T.Bil)、TNF-αおよびNO産生を経時的に測定した。肝藏および末梢血のNO産生はelectron paramagnetic resonance(EPR)spectroscopyを用い直接検出した。 LPS投与後より肝逸脱酵素やT.Bilの上昇を認め、TNF-αはLPS投与後1.5時間をピークとする急激な上昇を認めた。また、肝臓及び末梢血のEPR spectraでLPS投与後3時間からnitrosyl complexs形成を認め、大量のNOが肝臓において産生されていた。 ラット肝切除後endotoxin誘発肝不全モデルで、TNF-αとNO産生が肝毒性の発現に関与していることが示唆された。臨床での周術期、特に術後肝不全の病態や治療効果を把握する上でEPRによるNO測定は簡便でかつ有用な方法と考えられた。
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