研究概要 |
研究実績の概要 非虚血心における冬眠誘発因子のD-Ala2-Leu5-enkephalin(DADLE)投与の循環動態及び心筋代謝に及ぼす影響及びnaloxaneによる拮抗作用を検討した。本実験に先立って心筋障害、再灌流障害の指標としてheart fatty acid-binding protein、接着因子(E-selectin,ICAM-1,VCAM-1),ANP,BNP,TBARSが本実験群の比較検討に有用かつ妥当であるか否かを検討し報告した。さらにDADLEは細胞膜のdelta opioid receptorに作用するが、その発現にcAMP及びcGMPが関与することが報告されているがcAMP増加薬剤であるforskolin及びcGMP増加薬剤のHANPの心筋に対する効果も検討し報告した。以上の結果をふまえて以下の研究を行った。 [1]実験動物:Wistar系rat20匹を使用した。 [2]実験方法:血液交叉体外循環回路に、摘出心を装着し、心筋保護液を心停止を120分間行った。30分間の再潅流後working modeとした。DADLE及びその阻害薬であるnaloxaneの投与の有無及び投与方法により、以下の5群に分類し比較検討した。 Control群:通常の心筋保護心停止を行った群 DADLE pre群:心筋保護心停止1時間前にDADLEを1mg/kg/hrの速度で1時間全身投与した群 DADLE xcl群:心筋保護液にDADLEを2mmol/L添加し投与した群 DADLE pre+xcl群:心停止前及び心筋保護液中にDADLEを上記の方法で投与した群 Naloxane群:DADLE pre+xcl群に再灌流中naloxaneを3mg/kg/hrで30分間投与した群 [3]結果:心機能はDADLE pre+xcl群で温存されており心筋障害、再灌流障害の指標であるheart fatty acid-binding protein、接着因子、TBARSの発現も同群で低値を示した。本研究により虚血心に対するDADLEの心筋保護効果が示唆され、本研究結果を医学雑誌に報告予定である。
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