研究概要 |
VAMP-1(vesicle-associated membrane protein type 1:別名Synaptobrevin)はSNAP-25,Syntaxinと共に神経終末にみられるsynaptic vesicle proteinの一つである。これらはシナプス小胞の開口分泌に関与する因子であると共に内分泌組織における局在が観察されているが、いずれもそのヒト下垂体腺腫における十分な検討はなされていない。今回我々は下垂体腺腫について免疫組織化学(IHC)によりその発現を検討した。手術時採取した下垂体腺腫58例の10%ホルマリン固定パラフィン切片を用い、抗VAMP-1抗体を用いたABC法にてIHCを施行した。VAMP-1の発現は各々GH産生腺腫17/19(89%),PRL産生腺腫7/10(70%),ACTH産生腺腫6/8(75%),TSH産生腺腫1/5(20%),非機能性腺腫10/16(63%)であった。特に発現頻度の高いGH腺腫では他の腺腫に比較して陽性細胞の割合も多く、また細胞膜周辺のみならず細胞質にもシグナルの局在が観察された。ヒト下垂体腺腫にVAMP-1の発現が確認された。腺腫においては下垂体前葉ホルモンの分泌顆粒を介したVAMP-1開口分泌への関与の可能性が示唆された。
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