研究概要 |
前立腺癌細胞株(DU145,JCA-1,LNCap,PC-3)においてセリンプロテアーゼの一種であるγSmを用いて,浸潤能増強の有無を検討した.BIOCOAT MATRIGEL invasion chamberを用いて上室にそれぞれの前立腺癌細胞株を2X10^5/wellになるように添加した.下室にはγSmを5.14ug/ml含む血清不含培地と含まない培地を作成し,CO_2インキュベーター内で24時間培養した.γSmを含む血清不含培地においてDU145,JCA-1,LNCap,PC-3はぞれぞれ8.0±0.9,6.6±0.9,5.2±1.4,0.6±0.9/HPFの浸潤が確認され,一方γSmを含まない培地では8.4±2.3,6.4±1.3,4.0±2.1,2.0±0.0/HPFであり,両群間に有意な差は認められなかった. IL-6は進行性前立腺癌患者で血清中高値を示し,そのメカニズムとして転移,浸潤が関与していると考えられている.今回IL-6 antisense oligonucleotide(Il-6AS)による転移抑制効果を検討した.BIOCOATMATRIGEL invasion chamberを用いて上室に前立腺癌細胞株JCA-1を2X10^5/wellになるように添加した.下室にはIl-6AS,Il-6 sense oligonucleotide(Il-6S)を2uM含む血清不含培地と含まない培地を作成し,CO_2インキュベーター内で24時間培養した.Il-6ASを含む血清不含培地において4,3,3,3,4/HPFの浸潤が確認され,対してIl-6Sあるいはいずれも含まない培地ではそれぞれ17,11,14,13/HPF,13,14,13,16/HPFでありIl-6ASによる浸潤抑制効果が確認された.
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