研究概要 |
膀胱癌におけるcell cycle proteinの発現を検討し、バイオマーカーとしての有用性を検討した。cyclinA,cyclinB1,cyclinD1,Ki67の発現について検討を施行した。 cyclinAはhigh grade,high stageな症例ほど有意に発現が亢進しており、cyclinD1はhigh grade,high stageな症例ほど有意に発現が低下していた。cyclinB1,Ki67においてもcyclinAとほぼ同様な傾向が認められた。 予後解析を施行したところ、cyclinAおよびKi67の発現が高い症例は有意に予後不良であり、その高い発現は細胞増殖の高い腫瘍細胞の特徴を示しており、同じ表在性腫瘍においてもこの2つの因子の発現が高い症例は早期に膀胱筋層へ浸潤を呈したり、また再発時に転移を来す症例が多く認められた。cyclinAが予後因子となることは現在、大腸癌、肺癌、乳癌にて報告されており、今回の我々の検討した膀胱癌における結果とほぼ同様である。 膀胱癌患者においてcyclinAの発現を検討することは治療法の選択、また膀胱を温存しうるか否かとゆう、重要な選択に大きく寄与すると考える。尿中遊離細胞でのcyclinAの発現についても検討を施行したが症例数が少なく未だ満足いく結果が得られていない。 今後尿中遊離細胞においてRT-PCRを用いた迅速診断が可能となれば、再発の経過観察スクリーニングにも有用な検査になりうると考える結果であった。
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