研究概要 |
1.グルコース調節ストレスによるプラチナ系抗癌剤の感受性増強作用 in vitroの系において,ヒト卵巣癌細胞株RTSG,A2780,扁平上皮癌細胞株A431,大腸癌細胞株HT-29を2-deoxyglucose,calcium ionophore A23187,tunicamycinで6〜24時間処理してグルコース調節ストレスを誘導した.この条件下でプラチナ系抗癌剤シスプラチン,カルボプラチンに対する感受性を検討したところ,それらに対する高感受性化が認められた.細胞内プラチナ取り込み量,DNA結合プラチナ量を測定したところ,グルコース調節ストレス下にある細胞は,プラチナ処理直後の細胞内・DNA結合プラチナ量は非ストレス下細胞と変わらなかったが,プラチナ処理8時間後のDNA結合プラチナ量が非ストレス下細胞の2倍になっていた.グルコース調節ストレス下の細胞ではDNAに結合したプラチナの除去能が低下したためにプラチナ系抗癌剤に高感受性になると考えられた. 2.卵巣癌腹膜播種モデルの作成 マウスBalb/c-nu(♀)の腹腔内に,ヒト卵巣癌OVCAR-5細胞1×10^7個を生理食塩水に懸濁して注入した.マウスは5週間程度で死亡した.解剖の所見では腹腔内に多数の播種巣が形成されており,卵巣癌の腹膜播種モデルとして使用可能と考えられた.
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