研究概要 |
HLA-A2402を有するHER2陽性卵巣癌患者5名、HER2陰性卵巣癌患者1名および正常人7名の末梢血由来樹状細胞にヒトHER2p63-71ペプチドをパルスし、同一人末梢血リンパ球をin vitroで数回感作してキラー細胞の誘導を行い、標的細胞に対する細胞障害活性を検討した。樹状細胞による感作を2度以上繰り返すことにより、患者6名および正常人7名のすべてからキラー細胞誘導が可能であった。得られたキラー細胞から複数のCTLクローンを樹立した。CTLクローンはいずれも,HLA-A24拘束性にHER2陽性腫瘍細胞株を障害し,その細胞障害活性は抗CD3,CD8,HLA-A24,HLA-class I抗体によって抑制された。HLA-A24を有するHER2陽性卵巣癌患者,HER2陰性卵巣癌患者および正常人においてヒトHER2p63-71ペプチドを用いてHLA-A24拘束性HER2特異的CTLが誘導され,このペプチドの癌ワクチンとしての可能性が示唆された。 さらに,同様の方法で正常人2名の末梢血由来樹状細胞にヒトHER2p780-788ペプチドをパルスし,同一人末梢血リンパ球をin vitroで数回感作してキラー細胞の誘導を行い、標的細胞に対する細胞障害活性を検討した。樹状細胞による感作を2度以上繰り返すことにより、正常人2名のすべてからキラー細胞誘導が可能であった。得られたキラー細胞から複数のCTLクローンを樹立した。CTLクローンはいずれも,HLA-A24拘束性にHER2陽性腫瘍細胞株を障害し,その細胞障害活性は抗CD3,CD8,HLA-A24,HLA-class I抗体によって抑制された。 また,組み換えHER2蛋白と疎水性多糖類との複合体を樹状細胞と培養した後にリンパ球の感作に用い,正常人2名から抗HER2性CTLが誘導可能であった。
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