研究概要 |
子宮胎盤循環における白血球接着分子の関与の検討 [実験方法] 既報の如くハロセン麻酔下で妊娠17日目のS/Dラットの一側子宮角の子宮胎盤循環を30分間虚血し、その後再灌流を行った。この虚血再灌流の前後において子宮壁の一定部位の組織血流量をレーザー血流計を用いて測定した。抗白血球接着分子抗体投与群では虚血10分前に大腿静脈より抗ラットCD11aモノクローナル抗体(WT1)もしくは抗ラットCD18モノクローナル抗体(WT3)を0.8mg/kg投与し,対照群ではvehicleであるPBSを投与した。なお、子宮血流量および同時に測定する平均動脈圧については信号をパソコンベースのデータ取り込みシステム上で演算処理し,5分毎の平均値を求めた。そして子宮血流量については虚血前値を100%とし虚血前値との変化を検討した。 [結果] 対照群(PBS投与群)では、再灌流60、90、120分後の子宮血流量はそれぞれ虚血前値の78.1±6.0、71.1±4.7、48.2±1.2%となり、子宮血流量は虚血前に比べ有意に減少し虚血後低灌流が観察された。一方、WT1もしくはWT3投与群では、再灌流後も子宮血流量は保たれ虚血後低灌流は認められなかった。なお、対照群と抗白血球接着分子抗体投与群の間において子宮血流量測定中の平均動脈圧には有意差は認められなかった。 [考察] 平成11年度の研究では再灌流に伴い子宮側に白血球の集積・浸潤が生じることを報告した。本年度の結果と併せて検討すると、子宮における白血球の集積・浸潤が子宮血流量の低下に重要な役割を担うものと考えられた。
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