研究概要 |
強力なIFN-γの産生誘導因子として発見されたIL-18は、IFN-γの産生にIL-12を必要とし、IL-12とIL-18はsynergenicに作用する。また、IL-18は単独で血管新生抑制作用を持つことも報告されており、IL-12との併用により、血管新生抑制作用が増強される可能性も示唆されている。そこで、本研究では(1)担癌患者におけるIL-12、IL-18とIFN-γの血中動態を測定し、病態との関連を明らかにすること。(2)実験動物の腫瘍モデルにおいてIL-12とIL-18が、IFN-γを介さない抗腫瘍効果を持っているか。という点について検討した。(1)各種婦人科癌患者血清におけるIL18濃度の測定:婦人科担癌患者8名において、IL-12,IL-18,INF-γを、非担癌女性38名においてIL18をELISA法にて測定した。癌患者8名でIL-12,INF-γは全ての症例において検出感度以下であったが、IL-18は、全例検出感度(0.02ng/ml)以上で、1例のみ0.1ng/ml以下(非担癌女性レベル)であったが、7例は0.1ng/ml以上(0.12-0.87ng/ml)であった。非担癌女性のIL-18は、27例が検出感度以下(0.02ng/ml)であり、38名の平均は0.031ng/ml、正常レベルは0.08-0.1ng/ml程度と決定した。この結果より、担癌患者においてIL-18はなんらかの免疫学的働きを持つことが示唆された。(2)マウスモデル実験:重症免疫不全マウス(SCIDマウス)に絨毛癌を移植しIL-18が絨毛癌のIn vivoでの発育に関与するかを検討した。その結果、移植絨毛癌の発育はIL-12共存下でのIL-18の投与により著明に抑制された。その腫瘍発育が抑制されている例の病理像では、宿主側の細胞浸潤が見られ無いにも関わらず、著明な腫瘍への血管増生が抑制されていた。この事より、本モデルにおけるIL-18の抗腫瘍効果はIL-18による免疫担当細胞を介した抗腫瘍効果ではなく、血管新生抑制による抗腫瘍効果である可能性が示された。
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