研究概要 |
1.免疫組織化学的検討 鼻粘膜および喉頭粘膜における知覚系神経ペプチド(substance P(SP),calcitonin generelated peptide(CGRP))陽性線維の分布を、3種類の慢性低酸素(hypocapnic hypoxia,isocapnic hypoxia,hypercapnic hypoxia)環境下で比較検討した。すべての低酸素環境下でSP陽性線維とCGRP陽性線維は正常環境下に比べて増加したが、特にhypercapnic hypoxiaにおいて増加率が顕著であった。このことから、上気道粘膜の知覚系神経線維は動脈血中の酸素濃度だけでなく、炭酸ガス濃度にも影響を受けることが示唆された。また形態学的に検討すると、上皮内の神経線維の変化が上皮下や腺血管周囲の線維の変化に比して著明であった。粘膜固有層の自律神経線維には、低酸素暴露による変化を認めなかった。以上から上気道粘膜の低酸素環境に対する順応は、知覚系神経線維の変化が優位であり、この実験系が粘膜防御機構の解明に役立つものと思われた。今後は末梢における神経線維の変化が、神経節内に由来するのか、末梢における分枝に由来するのかを検討していく予定である。 2.三次元構築による検討 粘膜固有層の血管と神経線維との関係が、共焦点レーザー顕微鏡下で観察することにより明確に把握できた。目下、喉頭粘膜上皮内に存在する味蕾と知覚系神経ペプチド陽性線維の三次元的関係を検討している。
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