ヒトの剖検を用いて、上咽頭の組織学的検討を行ってきた。 前年度で、上咽頭でのリンパ球の分布や、カドヘリンの分布について学会報告してきた。 今年度は、第3のリンパ球と言われているナチュラルキラー(NK)細胞の分布を調べた。これは、上咽頭が感染の第一門戸として働いていることと、腫瘍の発生母地としての免疫防御機構について考察できると考えたからである。結論としては、NK細胞は、粘膜上皮では、移行上皮に他のリンパ球よりも多く共生していた。また、粘膜下では、他のリンパ球のように上咽頭の部位による差はなく、少数ではあるものの全体に広がっていた。 このことは、日本口腔咽頭学会で口演し、現在投稿中です。 この2年間で上咽頭の組織学的検討をしてきました。しかし、まだまだ十分ではありません。今年度にやっとNK細胞について検討ができ、接着因子と絡めて少し腫瘍免疫の観点で上咽頭を観察できてきたと考えています。今後は、さらに上咽頭で起こっている自己防御の機能の解明に近ずきたいと思います。
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