研究課題/領域番号 |
11771067
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
眼科学
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
稲富 勉 京都府立医大, 医学部, 助手 (00305583)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
2000年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1999年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 角膜上皮 / 結膜上皮 / 杯細胞 / ムチン / 上皮分化 / stem cell / 遺伝子発現 / MUC1 |
研究概要 |
角膜上皮は非角化重層扁平上皮からなり、涙液と接しながら外界に対するバリアー機能を果たすと同時に角膜の透明性を維持しながら光学的な屈折力を生み出している。角膜上皮の恒常性は、細胞増殖、細胞分化、アポトーシスなどのバランスにより維持されているが、増殖面においてはstem cellや基底細胞が、また機能面においてはterminal differentiateした表層細胞が特に重要な役割を担っている。 最表層細胞には膜結合型ムチンMUCIが発現し涙液の安定化に寄与している。今回我々は角膜表層に存在するムチン(H185抗原)をニトロセルロース膜にて除去し、局所での涙液被覆状態の変化を観察した。正常涙液状態では変化がないもののドライアイ状態では局所の涙液は不安定化しnon-invasive breakupが出現し、臨床的にみられるpatchy type SPKの形成メカニズムの主原因であることを報告した。 また可溶性ムチンであるMUC7については角膜上皮より抽出したRNAを使用しMUC7に特異的なプライマリーによりRT-PCR法により増幅が認められた。抗MUC7抗体を用いた免疫学的検索では涙液、上皮蛋白からはMUC7蛋白は検出できなかった。以上の結果より少なくとも可溶性ムチンであるMUC7は遺伝子レベルでは角膜上皮での発現が証明できた。さらに角膜、結膜上皮の分化機転の検索を目的としたin vitroのシステムを確立するため羊膜をculture bedとした培養システムを確立した。羊膜上に角膜上皮を3T3fibroblastとco-cultureすることにより増殖、分化を促進することができた。形態的にも正常に近い細胞接着装置の発現が観察され、免疫学的にも角膜上皮特異的なマーカーであるケラチン3、12の発現を誘導することができた。今後、角膜移植のための培養角膜上皮シートとして、また今研究の目的である上皮の分化機転を解明していく上で有用なモデルとして期待できる。
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