研究概要 |
角膜内皮細胞に多く発現する遺伝子を探ると同時に、角膜内皮で発現する未知の遺伝子を見いだす事を目的とした。今回用いた家兎角膜内皮細胞cDNAライブラリーは二宮善文教授(現岡山大学)より供与を受けたもので、家兎200羽の角膜内皮を剥離し培養した細胞から作られている。このライブラリー中の独立したクローン1000個について解析を行い、その結果、既知配列と相同性が高いものの他、頻度の高いESTと一致したクローンや未知のクローンを認めた。 頻度の高い未知のクローン6種のうち上位3種(RCE1 3)に関してその塩基配列を決定し、アミノ酸配列に変換しopen reading frameを推定した。その配列をアミノ酸データベースに対して検索を掛けその機能を推測した。RCE1は、DNAレベルでは2つのESTと約90%、アミノ酸レベルではesophageal cancer related proteinのひとつと約80%の相同性を認めた。現在RT-PCR法及び、ノーザン法を用いて角膜内皮および、他の臓器における発現量の比較を行っている。この遺伝子の機能は不明であるが、角膜内皮細胞に多く発現していることから、内皮細胞の生理的な機能に重要な役割を持つものと考えられ、解析をすすめている。RCE2に関してDNAレベルでは、Oryctolagus cuniculus collagenase-1 precursorと部分的に約90%の相同性を認め、この部分の配列は、他のウサギ遺伝子とも多く一致していた事から、ウサギに特徴的な塩基配列である可能性がある。RCE3に関してDNAレベルではHomo sapiens DA41 mRNA,complete cdsと38bpにわたり、100%の相同性を認めた。RCE2,RCE3のアミノ酸レベルでの相同性のあるものはなかったので今後明らかにしていきたい。
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