研究概要 |
臨床により得られたケロイドおよび正常皮膚の真皮におけるアポトーシスの発現をTUNEL染色によって観察した。 方法: 本学附属病院の当科手術で廃棄されるケロイド組織と正常皮膚から患者の同意が得られたものを使用した。これらの組織片より真皮を取り出し,通法に従って真皮線維芽細胞の培養を行った。これら培養線維芽細胞に各種薬剤の添加,ガンマセルによる放射線照射を行い,MTT法により細胞数をカウントするとともにTUNEL染色でアポトーシスの状態を観察した。 結果と考察: 抗生物質の添加を行った予備実験では,薬剤の分類(ペニシリン系,セフェム系など)によって特異な量依存性の細胞数の減少を認めたが,アポトーシスは観察されなかった。これは,膜障害による壊死であり予想通りであった。次に放射線照射においては極経度の照射線量でもすべての細胞が死滅しており,アポトーシスの観察,線量の検討を行うことはできなかった。これは皮膚の構造とは異なり,真皮単独のモデルを使用したことが原因と考えられ,現在,表皮の混培養を行った表皮を持つ培養皮膚モデルによる検討を追加している。
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