研究課題/領域番号 |
11771139
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
機能系基礎歯科学
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
江口 貴文 徳島大, 歯学部, 助手 (90263847)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2000年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1999年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 耳下腺 / アミラーゼ分泌 / ヒスタミン / H_2受容体 / トリフルオロペラジン / プロティンホスファターゼ2B / プロテインホスファターゼ2A / プロテインホスファターゼ1 |
研究概要 |
プロテインキナーゼとプロテインホスファターゼ(PP)による蛋白質のりん酸化の調節が細胞内情報伝達機構において極めて重要な役割を果たしていることはよく知られている。近年、サイクロスポリンやFK506がPP2Bを特異的に阻害して薬理作用を発揮することが報告され、PP2Bの生理的役割がとくにCa^<2+>/カルモジュリンとの関連で注目を集めている。唾液腺をはじめ外分泌腺における刺激分泌連関において細胞内Ca^<2+>は重要な調節因子である。しかしながら、外分泌腺におけるPP2Bの生理的役割については不明である。そこで、本研究はラット耳下腺を用いてヒスタミン(H)による分泌刺激の情報伝達機構におけるPP2Bの役割をPP2Bの阻害剤であるトルフルオロペラジン(TFP)を用いて追求し、下記の成果を得た。 耳下腺切片を10μMから1.5mMまでの濃度のTFPで前処理すると1mM Hによるアミラーゼ分泌(AM)がTFPの濃度に依存して著しく増強され、1.5mMTFPで最大の増強が認められた。1mMTFPで処理すると耳下腺組織のHに対するEC_<50>値は10分の1に低下し、H_2受容体の増量とH_2作動薬に対する親和性の増強が認められた。さらにH_2受容体に共役しているGTP結合蛋白質とくに促進性GTP結合蛋白質(Gs)のHによって誘導されるコレラ毒素によるADP-リボシル化能の増加は著しく増強され、c-AMP量も著しく増量された。しかし、Gsαの増量は認められず、TFP(0.01〜1.5mM)はGsαの機能を増強することが明らかにされた。一方、抑制性GTP結合蛋白質(Gi)の百日咳毒素によるADP-リボシル化能は1mMTFPによる前処理の如何に拘わらずHによって全く影響を受けなかった。さらに2.0mM以上の濃度のTFPで耳下腺組織を前処理のPPに及ぼす影響を調べたところ、PP1及びPP2Aは5mM以下の濃度のTFPの前処理により全く影響を受けなかった。しかし、PP2Bは2mM以上の濃度のTFP前処理によるAM分泌の抑制と一致して活性が著しく低下した。 以上の結果からPP2BはHなどの分泌刺激薬の分泌情報の伝達に何らかの関連があることが示唆された。
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