研究課題/領域番号 |
11771140
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
機能系基礎歯科学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
岡元 邦彰 九州大学, 大学院・歯学研究院, 助手 (10311846)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2000年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1999年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | Arg-gingipain / cysteine proteinase / fluorogenic substrate / Lys-gingipain / periodontal disease / Porphyromonas gingivalis / black pigmentation / hemagglutinin / heme aquisition / P.gingivalis / processing |
研究概要 |
筆者らは、昨年よりP.gingivalisの産生する2つのシステインプロテアーゼ(RgpとKgp)の完全欠損変異体を用いて様々な解析を行い、これらの酵素の役割について明らかとしてきた。本年は、それら欠損変異体に加えて、活性部位指向型の合成ペプチドインヒビターを用いて、RgpとKgpの宿主細胞における影響について解析を行った。合成ペプチドインヒビターはRgp特異的なインヒビター(KYT-1)とKgp特異的インヒビター(KYT-36)を、口腔内における宿主由来の細胞としては歯肉線維芽細胞(Gin-1)を用いて、P.gingivalis野生株と各欠損変異体の培養上清の歯肉線維芽細胞における影響を調べた。まず、P.gingivalis野生株の培養上清と歯肉線維芽細胞とを培養したところ、計時的に歯肉線維芽細が紡錘形から円形に形態変化をおこしやがて浮遊してきた。RgpあるいはKgpが歯肉線維芽細の接着を破壊したものと考えられたため、次に、各欠損変異体の培養上清で同様の実験を行ったところ、Rgpの欠損変異体とRgp.Kgpの両酵素の欠損変異体において細胞の浮遊率の減少が認められた。すなわち、Rgpにより細胞の浮遊が惹起されている可能性が高いことが明らかとされた。ここで先に述べた合成ペプチドインヒビターを用いて同じ実験を行ったところ、KYT-1において歯肉線維芽細胞の浮遊化が抑制され、P.gingivalis培養上清未処理の細胞と同様な像を呈した。このことにより歯肉線維芽細胞の浮遊化にはRgpが関与していることが考えられた。そこで、細胞接着における因子のうちでRgpのターゲットとなる物質を同定するためにP.gingivalis処理と未処理の歯肉線維芽細胞でSDS電気泳動後CBB染色を行った。すると、およそ200KDaの部位に著しい違いを認めたため、この部位のN末端アミノ酸配列を調べたところ、フィブロネクチンであることがわかった。そこで、フィブロネクチンの抗体を用いてウエスタンブロット解析を行ったところ、明らかにフィブロネクチンの分解が生じていた。また、フィブロネクチンと細胞を接着しているインテグリンについても抗体を用いて解析を行ったところ、インテグリンについても一部のサブユニットがRgpのターゲットとなっていることが明らかとされた。以上のことより、P.gingivalisの培養上清の歯肉線維芽細胞への影響は、細胞接着因子と細胞外マトリックスをP.gingivalisの産生するプロテアーゼが破壊することにより細胞を浮遊化させ、さらには細胞死へと導くものと考えられた。これには、プロテアーゼ欠損変異体と合成インヒビターの実験よりKgpよりRgpが主に関与しているものと思われた。
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