これまでに申請者らはDIAGNOdent^<TM>を用いたう蝕診断装置の基礎的な研究として牛歯エナメル質や象牙質に対して人工的に酸で脱灰のみさせた場合にDIAGNOdent^<TM>の測定値はほとんど反応を示さないこと、また脱灰した象牙質に烏龍茶で着色させると高い値を示すことを報告した。しかしう蝕検知液の染色には反応を示さなかった。このことから、脱灰による無機質の変化に加えて有機質に何らかの影響(色的な要素も含め)を与えることによって数値が上昇する傾向が示唆されたので、さらに牛歯象牙質を酸で脱灰した試料にコラゲナーゼを作用させ変化をみた。その場合、試料表面のコラーゲン量が減少するに従いDIAGNOdent^<TM>の測定値は高くなる傾向が認められた。また、コラゲナーゼ作用後烏龍茶で着色を施すと、コラーゲンの量が多いほどを着色を示し、その着色の程度が強いほどDIAGNOdent^<TM>は高い値を示す結果を示した。臨床ではエナメル質が崩壊していない状態で存在するう窩の測定においてエナメル質層が介在することで測定値に影響を及ぼしていると考えられるので、エナメル質の厚さが及ぼす影響についての実験を行った。その結果、切削前にDIAGNOdent^<TM>の測定値が20以下であっても切削つまりエナメル質の厚さが減少するにつれて数値が上昇する傾向があり、またその値が30以上に上昇するにはエナメル質の厚さが1.5mm以下であることが多いことがわかった。申請者らはさらにLussiらの基準を参考に臨床的診断を行いつつその評価を、またう蝕検知液を併用しながら感染歯質の除去のガイドとしても応用し、臨床的なデータを継続的に収集しており、今後もデータを増やして行く予定である。
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