研究概要 |
本研究の目的は、第一・第二鰓弓症候群患者の咀嚼筋の体積および形状と、顎顔面骨格の形状を三次元的に記録、解析し、筋肉に関するパラメータについて左右差が存在するのか、またもし存在するなら、それは顎顔面のいかなる形態的特徴と関連を有するのかを明らかにすることにある。 臨床診査において、第一・第2鰓弓症候群と診断された思春期前期の患者12名に対し、ヘリカルタイプCTスキャナを用いて、顎顔面部のCT撮影を行った。得られたCTデジタルデータを、ワークステーション上で、三次元再構築した。画像解析ソフトウエアを用いて、両側の咬筋、外側翼突筋、内側翼突筋、側頭筋を分離した。分離方法の再現性が充分に高いことを、予備実験で確認した上で、咀嚼筋の体積及び表面形状を定量的に評価した。各咀嚼筋の体積および表面形状の不規則性について統計学的に有意に左右差を認めることを明らかにした。さらに咬筋と外側翼突筋の左右差の程度について、統計学的に有意な相関が認められることを明らかにした。また、下顎骨形成不全、歯の形成不全、耳介形成不全と咀嚼筋体積の左右差の程度には、統計学的に有意な相関を認めなかった。 本研究の結果から、下顎骨、歯、耳介の形成不全の程度から咀嚼筋の形成不全の程度を予測できないことが明らかになった。仮骨延長術を行う際には、咀嚼筋の形成不全の程度を精査する必要があることが示唆され、臨床上重要な指針を与えるものである。 本研究の内容は、79^<th>General Session & Exhibition of the IADR(Chiba,Japan,June27-30/2001)において、発表の予定であり、また、論文も投稿準備中である。
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