研究概要 |
本年度は,Actinobacillus actinomycetemcomitans ATCC29522(A.a.),Bacteroides forsythus ATCC43037(B.f.),Eikenella Corrodens ATCC23834(E.c.),Fusobacterium nucleatum ATCC23726(F.n.),Porphyromonas gingivalis 381(P.g.),Prevotella intermadia 163(P.i.)を用いてヒト歯肉線維芽細胞(HGF)及びヒト歯肉上皮細胞(HGE)に対する接着及び細胞毒性について調べた.菌の接着実験では,洗浄した菌体をDME培地に懸濁し(0D_<650>=0.8),各細胞の培養液に等量加えて2時間培養した後,接着した菌体を免疫染色して調べた.その結果,菌種間でHGF及びHGEに対する接着性は大きく異なっていたが,HGFとHGEの間で接着性に差は認められなかった.調べた菌種の中では,B.f.,F.n.,P.g.が高い接着性を示し(細胞1個当たり菌体100以上),一方,A.a.,E.c.はほとんど接着しなかった(細胞1個当たり菌体10以下).菌の接着実験に用いた菌体懸濁液を希釈してHGEの培養液に添加し22時間培養した後,細胞の形態学的変化とViabilityを調べた.その結果,P.g.を作用させた細胞に一部形態学的変化が認められたものの,他の菌種では細胞毒性作用は認められなかった.今後はコラーゲンゲルを用いた培養系で感染実験を行い,上皮細胞に接着した菌が細胞内に取り込まれるのか,細胞間隙に侵入していくのかなどについて明らかにしていく予定である.
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