研究概要 |
ホモオキサカリックス[3]アレン類はカリックスアレン類とクラウンエーテル類の両方の構造的特徴を有する興味深い環状ポリエーテルである。しかしその機能化は充分成されているとは言いがたい。その大きな原因の一つとして骨格の合成法および官能基化の方法が限られている点が挙げられる。そこで我々はこの骨格の新規な合成法の開発と機能化を目的とし研究を行った。すでに報告した直鎖三量体からの環化反応(J.Org.Chem.1998,63,3260-6265)のほかに二量体と単量体の環化による新規な合成法を開発することができた(雑誌発表1)。さらにこの反応の最中に、新たな含酸素環状化合物が生成していることが判り,この化合物の選択的合成法を確立した。この化合物はそのリングサイズを反映しややセシウムイオンに選択性をもつことを明らかにした。さらにx線構造解析より'flattened cone'ともいうべき構造をとることも判った。(雑誌発表4)。さらにホモオキサカリックス[3]アレンのフェノール性水酸基をアルキル化しコーン型に固定したうえでアッパーリム上の置換基を全て異なった種類とした化合物も合成した。この化合物はアッパーリム上の置換基の並びが、右回りと左回りの光学活性が存在する。そこで光学活性カラムを用いた分取により、サイクロエナンチオマーを単離した。当サイクロエナンチオマーと光学活性アミノ酸エステルとがジアステレオメリックな錯体を形成することがMNRより明らかになった。(雑誌発表3)。今後どの程度の不斉の認識能があるかをさらに研究していく予定である。
|