研究概要 |
本年度において標記課題研究について原料調製法の改良及び全合成を目指した研究を行い以下の成果を得た。初めに高価なパラジウム触媒を用いて行っていた原料供給法の改良について試みた.すなわちアニソールよりBirch還元,位置選択的エポキシ化,塩基による脱離反応を経る4-(benzyloxy)-2-cyclohexen-1-oneの別途合成法を確立した.さらにC_1あるいはC_2対称キラルリチウムアミドを用いる不斉脱プロトン化反応を適用することにより原料の光学活性体を調製する方法についても平行して確立した.一方前年度実施した課題研究において到達していた[6-(benzyloxy)-4-(hydroxymethyl)-2-azabicyclo[3.3.1]non-4-yl]methanolより出発し、四級炭素に結合した2つの一級水酸基をAlH_3を用いた位置選択的アセタール開裂反応により区別することに成功した.次に6位の二級水酸基を酸化,メチレン化を行い,凸面選択的ヒドロホウ素化反応を適用してC環構築に必要な炭素鎖延長を行い,一級水酸基をアミノ基へ変換したのちにt-BuOKを用いてメタンスルホネート-カルバメート間の分子内S_N2型求核置換反応を実施することにより,マダンガミンの3環性基本骨格2,6-diazatricyclo[6.2.2.0^<4.9>]dodecaneが構築された.また2つのアミノ基の区別を窒素の保護の過程で行うことにより,全合成に必要な官能基化が完了した.
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