研究概要 |
有機スズ化合物とジオール類の相互作用についての検討を行い、以下の知見を得た。 1)ジアルキルチンジハライド型(R_2SnX_2)の有機スズ化合物が、塩基性条件下において、1,2-ジオールを選択的に酸化され易い常態へと活性化させる事を見しだした。1,2-ジオールは、1,3-ジオールより10倍以上速く、有機スズ触媒と錯形成を行うことが示された。 2)上記活性化機構は、有機スズ化合物により1,2-ジオールからの選択的な脱プロトンが促進されることに基づく事を、1,2-ジオールのモノベンゾイル化反応を行うことにより示すことができた。また、この際、反応は少なくとも200回以上の触媒サイクルを形成していることを示しており、センサーとして或る程度の化学的安定性が期待できる。 3)光学活性な有機スズ試薬を用いることにより、末端ジオールの2級水酸基側の立体を識別することができることを見いだした。この際、水分子の存在が、立体認識能を著しく向上させることを見いだした。 4)水素結合を有するフェノキシ基を用いて可逆なレドックス系を構築し、1,2-ジオールのアンペロメトリック検出のためのデバイスとして利用できる可能性を見いだした。
|