研究課題/領域番号 |
11771435
|
研究種目 |
奨励研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生物系薬学
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
増田 智先 京都大学, 医学研究科, 助手 (90303825)
|
研究期間 (年度) |
1999 – 2000
|
研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
|
配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2000年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1999年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
|
キーワード | 腎尿細管 / 分泌 / 酸性薬物 / 有機アニオントランスポータ / 刷子縁膜 / MDCK細胞 / トランスフェクション / メトトレキサート / 刷子緑膜 / メトトレキセート |
研究概要 |
本研究では、アニオン性薬物の腎排泄挙動に関わると考えられる腎局在性有機アニオントランスポータ(OAT-K1よびOAT-K2)の生理機能について各々の安定発現細胞を構築し、それに基づく構造・機能解析を行い以下の研究成果を得た。 有機アニオントランスポータヘ安定発現細胞系による薬物認識特性の比較解析と薬物治療における役割 OAT-K1およびOAT-K2安定発現細胞を用い、それぞれの有機アニオン認識特性について比較解析を行った結果、両トランスポータはアニオン性抗癌剤メトトレキサート、アラキドン酸誘導体であるプロスタグランジンE2やプロスタグランジンF2α、胆汁酸、硫酸またはグルクロン酸抱合ステロイド、カビ毒であるオクラトキシンAなどのアニオン性化合物を広く認識するのみならず、カチオン性である抗ウイルス剤ジドブジンも輸送基質として認識することを見出した。一方、古典的な有機アニオントランスポータの基質であるパラアミノ馬尿酸は弱い阻害効果を有するものの基質とならないことが分かった。また、OAT-K1およびOAT-K2間における著明な基質認識特性の違いは認められず、両トランスポータが類似した有機アニオン認識特性を有していることが示唆された。さらに、予め細胞内に負荷したメトトレキサートの細胞外への排出は、細胞外フォリン酸の存在により著しく促進された。従って、OAT-K1およびOAT-K2は近位尿細管刷子縁膜において上皮細胞内に蓄積したメトトレキサートと糸球体濾過されたフォリン酸との交換輸送を媒介し、臨床におけるフォリン酸投与後のメトトレキサート血中濃度低下に少なくとも一部関わっていることが推察された。 これらの研究成果は、アニオン性薬物の尿中排泄機構を詳細に理解する上で有用な基礎情報を提供するのみならず、メトトレキサートを用いた癌化学療法に対するOAT-K1およびOAT-K2の重要性を明らかにするものと考える。
|