研究課題/領域番号 |
11771498
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
応用薬理学・医療系薬学
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
小林 カオル 千葉大学, 薬学部, 助手 (30255864)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2000年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1999年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 薬物代謝 / P450 / CYP1A2 / 酵素誘導 / RT-PCR / mRNA |
研究概要 |
薬物代謝酵素であるCYP1A2は、チトクロムP450の分子種であり、喫煙やプロトンポンプ阻害薬により誘導される。CYP1A2の誘導は、テオフィリンなどの血中濃度を低下させ、治療効果の減弱を引き起こす重要な要因となる。従って、喫煙習慣やプロトンポンプ阻害薬の服用によるCYP1A2の誘導作用を個々の患者について知ることは、CYP1A2によって代謝される薬物の投与設計を行う上で重要な情報となる。そこで、CYP1A2に関するin vivo薬物代謝能を白血球中のmRNA量から予測することを目的とし、in vitroおよびin vivoにおけるCYP1A2活性と肝および白血球中のCYP1 A2 mRNAの発現との関連性を検討した。 ラットにCYP1Aの誘導剤であるβ-ナフトフラボン(BNF)を腹腔内投与したところ、肝におけるCYP1A2含量および肝と白血球中のCYP1A2 mRNA量はBNF投与により増加した。また、肝のCYP1A1含量および肝と白血球中のCYP1A1 mRNA量はBNF投与により検出可能となった。一方、14例のヒト肝組織におけるフェナセチンO-脱エチル化活性とCYP1A2 mRNA量との間に有意な相関は認められなかった。また、健常人(喫煙者19名、非喫煙者23名)を対象とし、白血球中のCYP1A2mRNA量およびインスタントコーヒー服用後のカフェインとその代謝物の尿中排泄比(MR)を測定した。その結果、喫煙者におけるMRは非喫煙者に対し有意に高値を示したが、MRと白血球中のCYP1A2 mRNA量との間に相関は認められなかった。しかし、白血球中のCYP1B1 mRNA量は、オメプラゾールの服用により上昇する傾向が認められた。 以上より、ラットにおけるCYP1A1およびCYP1A2 mRNAの誘導は、肝だけでなく白血球においても認められることが明らかとなった。一方、ヒトCYP1A2に関しては、末梢血白血球中のmRNA量とin vivo薬物代謝能との関連性は認められなかった。しかし、オメプラゾールによる酵素誘導を末梢血中のCYP1B1 mRNA量により検出できる可能性が認められたことから、白血球中のmRNA量の測定は薬剤による酵素誘導を検出する手段として有用である可能性が示唆された。
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