研究課題/領域番号 |
11771506
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
応用薬理学・医療系薬学
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研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
桂 昌司 川崎医科大学, 医学部, 助手 (80204452)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2000年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1999年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 内在性不安誘発物質 / diazepam binding inhibitor / 電位依存性カルシウムチャネル / 薬物依存 / up-regulation / 易再燃性 |
研究概要 |
本研究では、diazepam binding inhibitor(DBI)が内在性不安誘発物質であることをふまえ、薬物依存症患者の治療上特に問題となる易再燃性とDBIの生合成調節機構との関連性、ならびに薬物依存成立に関与するDBIの脳内誘導の機序を明らかにすることにより、従来より行われてきた動物実験モデルを用いての現象論的な薬物依存研究とは異なり、依存性薬物による精神依存および身体的依存の成立機序の本態を明らかにすることを目的として行われた。本年度では、アルコールの長期曝露により細胞内へのCa^<2+>流入が増加し、この増加が主として諸種の電位依存性Ca^<2+>チャネル(VDCC)のup-regulationに起因する可能性が高いことが指摘されていることから、アルコール長期曝露後の神経細胞におけるCa^<2+>流入動態変化とDBIの機能的関連性について検討した。その結果、本研究で用いた初代培養マウス大脳皮質神経細胞においては、アルコールの長期曝露はL型VDCCの機能亢進を誘発するが、N型およびP/Q型VDCCには影響を与えないことが明らかとなった。そこで、L型VDCC阻害薬の存在下におけるアルコール長期曝露によるDBI mRNA発現の変化を検討したところ、L型VDCC阻害薬によりDBI mRNA発現増加は完全に消失することが観察された。さらに、同様の阻害効果が他の依存性薬物の長期曝露に伴うDBI mRNA発現変化に対しても共通に認められた。したがって、昨年度および今年度に得られた成績とから判断して、薬物依存の形成過程ならびに離脱症候発現時に認められる精神症状の変化にDBIの脳内変化が関与している可能性は極めて高いこと、しかもその発現には共通の機序を介している可能性が考えられることから、統一見解の得られていない薬物依存症の病態解明とその治療方針に有用な基礎データが得られたものと考える。
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