研究概要 |
最近,デヒドロエピアンドロステロン(DHEA),アンドロステンジオール(ADIOL)やアンドロステントリオール(ATRIOL)に免疫賦活作用を有することが報告され,注目されている.本研究では免疫疾患として癌疾患の中の前立腺癌と自己免疫疾患の一つである甲状腺機能亢進症(Hyper)および甲状腺機能低下症(Hypo)での上記各ステロイドの血中動態を検索し,以下の成果を得た. (1)ADIOLの高感度酵素免疫測定法(EIA)の開発 ADIOLの血中動態を検索するためには,高感度測定法の開発が必須である.そこでこれまで報告のなかったADIOLの高感度EIAを開発した(Clin.Chim.Acta 296,193(2000)). (2)HyperおよびHypo患者におけるDHEA,ADIOLおよびこれらの硫酸抱合体の血中動態を検索した結果,Hypoでは全てのステロイドがコントロール群より有意に低下していた.また,Hyperでは硫酸抱合体が高値となったが,非抱合型はコントロールと差は認められなかった.甲状腺ホルモン量とこれら各ステロイド量の間に有意の相関が認められた(Clin.Chem.46,523(2000)). (3)前立腺患者におけるDHEA,ADIOLおよびこれらの硫酸抱合体の血中動態を検索した.その結果,前立腺癌患者血中硫酸抱合型ステロイドはコントロール群より有意な低下が認められた.しかし,非抱合型ステロイドはコントロール群と差が認められなかった(投稿準備中). (4)血中ATRIOLの同定・確認 正常人血清中ATRIOLの存在を確認するため,ATRIOLの合成を行った(市販品がないため).これを用いてGC/MSにより正常人血清中にATRIOLが同定できるか確認を行った.しかし,GC/MSによってはATRIOLの存在を確認はできなかった.
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