研究概要 |
H12年度には、以下の実験研究を実施した。 1,情動判断の的確さが特に求められる精神科看護者60名を対象として「二重拘束コミュニケーションが情動判断に及ぼす影響」を明らかにする実験を行い、精神科経験のない看護者(以下一般看護者とす)、看護学生(=前年度実施)との比較検討を行った。対象群と質問項目についての分散分析を行った結果、(1)、患者に対する印象評定の9項目に因子分析を行い、3因子が抽出された。精神科看護者群と他対象群では、2つの因子に有意な差がみられた。(2)精神科看護者と一般看護者群は、学生群より、会話内容の再生成績が有意に低かった。(3)一般看護者群と学生群では、理解度と受け手の感情の「悲しみ」において有意な差がみられたが、精神科看護者群との有意差はなかた。 2,実際の臨床場面における看護者と患者の対話場面の実験について以下の予備実験を行った。模擬患者1名に「喜び」と「悲しみ」の2条件を演じてもらう。被検者間計画で1条件につき被検者5名を割り当て、各被検者と模擬患者との会話場面を録画した。録画は、デジタルビデオカメラ3台を用い、被検者と模擬患者の表情、両者の動きの3点に焦点を当てた。予備実験の結果、2条件では「両者の動き」、つまり2者間の距離や被検者の動きに違いが見られたが、被検者の視線に違いは見られなかった。これらのデータを基に実験準備を行い、実際の臨床場面の録画について研究協力を3施設に依頼した。了承が得られ次第、本実験に入る予定である。
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