研究概要 |
〈研究目的〉看護職の専門的援助技術として,精神障害者をもつ家族への有効な援助技術を明らかにすることを目的とした。 〈結果および考察〉今年度は,地域精神保健看護の観点から,保健婦の行う精神分裂病患者の家族への援助内容と特徴について質的な分析により,以下のように明らかにした。 保健婦の援助は「家族のもつケア能力の向上」に向けて行われており,特に援助導入時は「家族との信頼関係の構築」が中心であった。1,援助内容としては, 1)家族自身に向けての援助:(1)家族が相談できる人,家族を脅かさない存在として出会う。(2)家族の健康度を高める。(1)不安や焦りなど,家族の心的負担を緩和する。(2)家族自身の健康についてのセルフケア能力を高める。 2)本人と家族との関係に向けての援助:(1)具体的な場面を通して本人と家族との関係を確認する。(2)保健婦自身を本人と家族が良好な関係を作るための道具として活用する。例えば,家族に対して本人とのコミュニケーションの取り方のモデルを示す等。(3)本人と家族間のコミュニケーションの介在者として機能する。(4)家族が本人への理解を深め,本人に対応できるよう助ける。 3)家族と社会とをつなぐ援助:(1)家族を支える関係機関のネットワークや社会資源の強化を図る。(2)社会からの刺激として家族に接する。 2,援助の特徴として, 1)家族に相談できる人と認知してもらうために,保健婦との出会い方の工夫や同行受診等により,家族と一緒にいる場面を多く共有しながら家族との信頼関係を築くことに主眼がおかれていた。 2)家族の焦りや不安などの心的負担を,家族と一緒に行動する・本人への対応方法を場面を通して提示するといった具体的な援助を行いながら緩和していた。
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