研究課題/領域番号 |
11780049
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
体育学
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研究機関 | 大阪体育大学 |
研究代表者 |
鶴池 政明 大阪体育大学, 体育学部, 講師 (40298831)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2000年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1999年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | H反射 / 姿勢 / シナプス前抑制 / ジンドラスティック手技 / 加齢 / ジンドラスティック方法 / 脊髄反射の変動性 |
研究概要 |
前年度の研究成果を踏え、さらにヒラメ筋H反射の変動を調べた。H反射(脊髄反射)の変動を調べることは、ヒトの運動制御の働き(神経筋調整)を解明する手がかりとなる。たとえば姿勢の変化は脊髄反射を変動させる。さらに遠隔筋収縮が反射を変動させ、また同一筋収縮が反射を変動させる。そしてこれらの運動制御は加齢により異なることが明らかにされている。H反射の変動メカニズムはシナプス前抑制の働きと指摘されている。シナプス前抑制とは、筋内の感覚受容器から伝達される感覚神経(Ia線維)が脊髄において単シナプスで同一筋の運動神経を興奮させる際、Ia線維の終端において他シナプスの働きが加わり伝達物質が抑制されることである。本研究の目的は、シナプス前抑制の働きに着目し、上肢筋収縮を用いることで反射を促通させるメカニズムを解明することであった。遠隔筋収縮により下肢脊髄反射が促通することをJendrassik maneuver(JM)と呼ぶ。実験では若年者13名(22.1±1.0歳)を用いて1msec矩形波の電気刺激を膝窩から後脛骨神経に送り、表面筋電図に表れるヒラメ筋反射(H反射)の変動値を測定した。刺激量はM波の閾値1.1倍を用いた。実験は31度の傾斜をつけた滑走背もたれの上に被験者は仰臥位になり、プラットフォームおよびカフレイズ(腓腹筋収縮)台に両足をのせた。足関節は背屈位ゼロ度であった。そして被験者は安静とテニスボールを両手で最大に握ることを無作為に行い、その間H反射を測定した。結果は、すべての被験者は安静に比べJM時において有意に反射量を促通させた。カフレイズ台ではプラットフォーム上よりH波値は少ないが、JMによりその値を多く促通させた。前年度の研究成果から重力、同一筋収縮、または重心動揺においてH波の変動は異なり、そしてJMにより促通値もする。このことはシナプス前抑制がJMにより脱抑制されたのではないかと示唆された。しかしこれらがない伏臥位ではJMによる促通がみられず、つまりシナプス前抑制がほとんどない状態と言え、そのためJMによる脱抑制がなく、促通がなかったのではないかと示唆された。これらの結果は今後加齢に伴う運動制御の変化を調べる手がかりとなった。
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