研究課題/領域番号 |
11780096
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
食生活
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研究機関 | 東京農業大学 |
研究代表者 |
阿久澤 さゆり 東京農業大学, 応用生物科学部, 講師 (60256641)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2000年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1999年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 小麦粉 / 湿熱処理 / SEM / 活性化エネルギー / パーコレーション理論 / スケーリング指数 / ゾル・ゲル転位 / 緩和時間 / 澱粉 / 走査顕微鏡観察 / 糊化特性 / 動的粘弾性 / ゾルーゲル転移 |
研究概要 |
小麦粉に湿熱処理を行うことにより構成成分の構造を変化させ、理化学的性質およびペーストの流動特性を検討した結果、以下のようであった。 SEMによる観察では、湿熱処理によりタンパク質が澱粉粒をコーティングするように覆っていた。タンパク質含量は変化なく、プロナーゼによる分解は、湿熱処理の方が分解率が低かった。さらに、RVAによる糊化過程の粘度挙動は、湿熱処理により粘度立ち上がり温度が上昇し、最高粘度は著しく低く、セットバックも約1/2で、加熱・冷却時の粘度変化は僅かであった。DSCによる熱的性質では、ピーク温度は約12℃高温側へ移動し、吸熱エンタルピーも1/3に減少した。小麦粉ペーストはチキソトロピー的挙動を示し、湿熱処理により特性値が著しく増加した。また、平衡粘度からアンドレードの式により算出した見かけの活性化エネルギーは、湿熱処理の方が低値であり熱に対する安定性が示された。湿熱処理小麦粉から抽出した澱粉は、α-アミラーゼによる生澱粉の消化性が増加し、DSCではピークが約10℃高温側へ移行し、湿熱処理のみ高温側に3つのピークが観察された。また、澱粉粒中の水については、凍結する2種の水の存在が示唆され、さらにNMRを用いてH^+の緩和時間を測定したところ、澱粉粒(水分14.7%)中には2種の緩和時間が異なる水が存在するが、緩和時間から結合と考えられ、さらに水で膨潤させた澱粉は、澱粉粒中に緩和時間の長い水の存在が観察された。また、加熱後の緩和時間では、湿熱処理澱粉糊液の方が緩和時間が長かった。パーコレーション理論による小麦粉澱粉糊液の解析では、湿熱処理ではスケーリング指数が小さく、未処理に比べ柔らかいゲルであることが認められた。
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