研究概要 |
平成13年度は,平成12年度の実績を踏襲し,立脚する人間観・知識観であるPolanyi,M.の理論を背景としながら,個人のもつ数学的知識の様態を捉える視点を発展させ,算数・数学教師を調査参加者として,調査研究を行った。 個人のもつ数学的知識の様態を捉える視点の発展には,平成12年度の調査結果と共に中学生を対象とした調査結果を利用した。平成12年度の研究では視点として三つをあげた。他方で,成人の場合の基礎資料を得ることを副目標とし中学生を対象として行った調査結果を解釈したところ,七ないし八つの視点を得た。平成13年度に行った調査資料の解釈では,成人の場合であっても,視点を八つにすることにした。 調査から得た主な知見は次であった。第一に,学習者,生活者としての経験からと教師としての経験からとの双方からの数学的知識の様態を捉え得たこと,第二に,参加者の数学的知識の中で算数・数学学習観(教育観),学習,授業の仕方,他者の影響,および態度や情意が互いに関係していることであった。態度や情意が他の様態と結び付くことは,情意的性格が数学的活動の根幹にあるからであると考察した。
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