平成11年度は天体撮影システムのテストとインターネット上でのネットワークコミュニケーションについて検討を行った。 科学教育カリキュラムの教材となる画像を撮影するシステムのテストとして、口径10cm焦点距離800mmという望遠鏡と約160万画素の冷却CCDカメラを用いて天体の撮影を行ったところ、視直径が大きい星雲・星団では教材として活用できる素材が得られることがわかった。来年度では、フィルターを工夫し、変光星や小惑星の光度変化など測光観測のデータ精度が高い素材も取得できるようにしたい。また、大口径、長焦点距離の望遠鏡を用いれば、更に観測対象はひろがるといえる。 ネットワークコミュニケーションの検討として、インターネット上でTV会議が行えるCU-SeeMeというフリーソフトを用いた交流会を行った。研究所と中学生2チームで行った際には、中学生2チームは同じような通信環境下にあったにも関わらず、音声伝達に違いがあり(聞こえたチームと聞こえなかったチームがあった)、あらためてネットワーク上で同じ環境を作ることの難しさを実感した。研究所と日本の中学校、アメリカの中学校の3カ所でCU-SeeMeを用いて交流会を行った際には、普段は会うことが不可能な者同士のコミュニケーションを画像とチャットにより行うことができた。この時にも音声伝達は環境による差が大きいことがわかったので、CU-SeeMeを用いた交流会を行うときには、音声に頼らない方法を考える必要があると言え、今後ネットワーク上でコミュニケーションをとる際には、ネットワーク環境の違いにも配慮した方法を考えていきたい。
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