研究概要 |
本年度は,マルチエージェントシステムに基づく適応的画像認識システム実現の一環として,任意の画像認識問題への適用および学習機能追加へ向けた,汎用性の向上を目指した知識モデル・システム制御について検討・提案した。 各エージェントが処理の対象とする認識対象物の知識モデルについては,同種異タイプの対象を扱うことができるように修正した。例えば,提案システムで線画解釈問題を扱う場合,線分の抽出を担当するエージェントが存在する。線分には実線や破線といった,同じ線分でありながら異なる属性を有する異種タイプが存在する。この場合,線分としての性質と,実線と線分で異なる性質を別々に記述することができるエージェント知識モデルが要求される。提案手法では,この種の知識を抽象-具象関係として記述することができる,オブジェクト指向形式のエージェント知識モデルを提案した。また,システムに学習機能を容易に追加することを目指し,知識記述箇所をプログラム的に分離して記述することができるモデル構成にした。 また,システムの制御については,個々のエージェントを動作モードを切り替えつつ,エージェント知識内に記述されている強制約(解において必ず満足されるべき制約)と弱制約(解においてある程度満足されれば良い制約)を共に充分満足する手法を提案した。具体的には,各エージェントの弱制約を評価関数として表現し,最急降下法に基づくシステム状態変化を採用している。ただし,強制約を強制的に充足するため,強制約違反を強制的に回避する状態変化が,適宜適用される。その結果,強制約が必ず満足され,かつ,弱制約も充分満足されている最終解を獲得することができた。
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