研究概要 |
本研究の目的は、WWWから専門知識を用いて有用な情報を抽出、組織化して、対象領域に限定した専門情報検索システムを構築することである。平成11年度にWWW上の情報検索に関する課題の分析を行い、人間がWWWから情報を獲得し、専門知識を構築する方法に焦点をあてることにした。 平成12年度は、人間の記憶を外在化した概念としての外化記憶という概念を提案し、人間のアイディアやWWWなどの情報源から情報を獲得、整理し、知識を構築する過程を支援するシステムMemory-Organizerの設計、開発を行い、実験的な評価を行った。具体的には以下のとおりである。 1.個人の外化記憶構築システムMemory-Organizerの設計開発 Memory-Organizerは以下のサブシステムから構成される。(a)思考空間ブラウザ:アイディアやWebページなどから情報の抽出、編集を支援。(b)オーバレイWebブラウザ:Web閲覧時にメモを上書きしたり情報の切り抜きなどを支援。(c)興味空間ブラウザ:Webブラウジング履歴などから自動的にユーザの時系列の興味空間を作成してアイディアやWebページの検索を支援。(d)知識木ブラウザ:Webブラウジング履歴などから自動的にユーザの知識木を作成。 2.Memory-Organizerの実験評価 (a)思考空間ブラウザ,(b)オーバレイWebブラウザ,(c)興味空間ブラウザに関する試用実験を行った。実験1は共同研究者(30歳男性)による約8月の試用観察で、実験2は20,30代女性4名による新聞記事Webサイトにおけるブラウジング実験である。その結果、本研究における興味語抽出手法が頑健で実用的であること、興味空間ブラウザがユーザの興味空間を表しており、Webページの整理や過去の想起に役立つことが示唆された。今後はユーザインタフェースの改善が課題である。また知識木ブラウザに関する評価が課題として残った。
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