研究概要 |
本研究では,遠隔操作に見られるような緻密な操作時を想定し,疲労の少ない立体呈示法について検討を進めてきた. 本年度では,まず,11年度に行ってきた眼内視差と運動視差を考慮した立体呈示システムの開発を継続して取り組んだ.11年度には,カメラの回転による奥行き計測と遠隔にあるディスプレイへの呈示という基本的な処理を行えるようにシステムを構成した.本年度では,この基本システムに対して奥行き計測精度を高める方法について取り組んだ.カメラの回転運動量を生成する方針について検討した.移動量の異なる回転運動を組み合わせることを試みた.これによるサブサンプリングの効果によって,計測精度を高めることが可能となった.また,計算量の削減のため,特徴領域の対応を探索する範囲の制限,対応技法の検討も試みた. 一方,試作システムによる遠隔操作時の奥行き判別支援能力の評価を行うため,心理実験を行った.遠隔地にいる操作者を想定し,カメラから送られた映像のみの観察から,マニピュレータ操作を行うことによって,二つの物体の位置合わせを行う課題を行った.その結果,本システムの支援により,本システムの支援なしで位置合わせを行った時よりも,位置合わせの精度が向上する結果が得られた. しかしながら,本システムでは,視差の算出に際してカメラの回転運動を複数回実施するため,カメラの姿勢制御に時間が必要であり,システム全体の動作速度の低下が見られたことは課題としてあげられる.
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