研究概要 |
分散処理システムの構成要素を自律的なソフトウェア部品であるエージェント(以下、エージェントと略す)を用いて構築するためのフレームワークであるADIPSフレームワークの開発利用経験をもとに、新たなマルチエージェントシステム間のオントロジー交換用プロトコルを開発することを目的として研究を進めた. 従来ADIPSフレームワークにおいてエージェントでオントロジーを実現するためには,エージェントプログラミングを行うものが意識的にオントロジーを用いる必要があったが,平成11年度〜平成12年度に行ったエージェントアーキテクチャの研究によって作成された新たなエージェントアーキテクチャにより,エージェント間オントロジー交換プロトコルを設計・実装することが可能になった. 本研究によって得られた新たな知見は以下の通り. 1. 分散処理システムの構成要素となるエージェントの設計者とは別に,エージェントの振る舞いを決定する(1)エージェント間協調プロトコル設計者,(2)エージェントの推論方式を定める知識処理機構設計者,(3)エージェントの構造を設計するコントローラ設計者の3つのメタエージェント設計が存在し,これを明示することで,従来のADIPSフレームワークにおけるエージェント設計よりもエージェント設計が容易になる. 2. エージェントプロトコルの記述方式としAgenTalk(桑原他)が有効に利用できる 3. メタエージェント設計を利用することで,特定分散処理システム向けのエージェント記述量が削減できる. 4. エージェント設計段階での識別子(エージェント名)と複数の複製されたエージェントとの対応付けを行うアルゴリズムとそのアルゴリズムを実装したエージェント記述言語が新たに要求される. エージェント教育の必要性,新しい分散処理システムの構成法の概念をつかむための教育が必要であり,実システムとしての本研究成果とは別に教育用システム開発を行い,成果は図書として発表した.
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