研究概要 |
プラズマ電荷中性条件が破れると,プラズマ中には自己電場が発生するので,磁場閉じ込めプラズマ中においては回転流が生成すると期待できる.このことを実験的に検証する方法として,電子プラズマ中に準中性プラズマを重畳させることを考え装置の開発を進めてきた. 今年度は,まず,非中性プラズマ実験用同軸ガンの製作を行った.開発したプラズマガンはマーシャルガン型で,ガンの構造対称軸上に熱陰極放射型の電子銃を装填できるようになっている。また,同軸ガンを放電させるための充放電系を構築し,ガス導入系を除いて全ての準備を整えた. 次に,本実験を行うBX-U実験装置での電子プラズマの生成実験を行った.BX-Uはマルンバーグ型のトラップ装置となっている.この装置において,磁場強度が200G程度の弱磁場中で密度〜10^<12>m^<-3>の純電子プラズマを0.1秒の時間オーダーで閉じ込めることができることを確認した.しかし,閉じ込め時間に対する再現性にばらつきがあり,実験に対して何らかの外的要因か,制御不可能な現象が含まれている事を示唆している.このため,入射電子数や入射時間を高精度で制御できる多パルス蓄積法を行うため,制御回路系の構築を行った. 第3に,電子プラズマの電位をエミッシブプローブで測定する実験をProto-RT装置において行った.従来,トーラス電子プラズマの電位はハイインピーダンスプローブで測定され,精度は高いと報告されてきているが,この測定法では空間電位ではなく,電子プラズマ中での浮遊電位を測定しているにすぎず,両者の間に大きな違いがでることを明らかにした.また,回転エネルギーを有している非中性プラズマでは密度が修正ボルツマン因子に従うので,プローブ特性から密度を算出する際には,このことを考慮しなければならないことを指摘した.さらに,電子プラズマの浮遊電位が,バックグラウンドの不純物量で変化することも示した.
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