研究概要 |
本方式の独創的な点である、半導体空乏層内のX線生成電荷(電子温度Te,密度n,有効電荷zeffに複雑に依存)を用いる定説的手法を覆し、空乏層を「X線吸収体」として用いる新着想(従来用いられた事の無い、無電場基板領域でのTeのみに分布形状が依存するX線生成三次元拡散電荷を用いる)の有効性検証として、昨年度までに以下の配位で拡散電荷分布の形成を確認した。即ち、計測器の空乏層厚d∝V_<1/2>(Vは外部印加電圧)をVの時間掃引により時間変化させ、空乏層での吸収X線を変化させると空乏層を通り抜け空乏層の背後の無電場領域まで到達できるX線のエネルギーが変化する。また、無電場領域内の深さ方向のX線生成電荷分布形状は、無電場領域でのX線減衰分布形状(X線エネルギーに依存)で決まる。これら、X線エネルギーに依り生成分布が異なる電荷が、無電場領域で三次元拡散し、X線入射の無い隣接チャンネルに拡散し、入射エネルギーに特有の拡散電荷分布を形作る。今年度は更に異なる種々のエネルギーでの計測を行った。一方で、このような実験配位に於ける、拡散分布形状のエネルギー依存性を、我々が提唱した新感度理論を用いて計算し求めた。これら実験値と計算値とを比較した結果、入射X線のエネルギーを導出することができた。これより、温度、密度、有効電荷に複雑に依存する空乏層を用いた、従来のX線計測の原理的困難を解決する、我々の独創に基づくX線エネルギー、延いては電子温度計測の新原理を実証した。
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