研究概要 |
本研究ではこれまで合成の報告すら殆どないランタニド-ランタニド-窒素系化合物の合成とその磁気的性質を調査した。炭素熱還元法とアンモニア窒化法により、任意の組成x(x=Ce/Ce+Gd)のセリウム-ガドリニウム-窒素系化合物(Ce_xGd_<1-x>N)を合成し、SQUID磁束計を用いて温度範囲5〜200K、印可磁場0〜5Tの条件でそれぞれの組成の窒化物の磁化測定を行った。CeNを除く全ての組成の窒化物は極低温で強磁性的挙動が観測された。また、高温領域では全ての組成で磁化が磁場に比例し、Curie-Weiss則に従うことが判った。このCurie-Weiss則から常磁性キュリー点と希土類一原子当たりの有効磁気モーメントを求めた。常磁性キュリー点は組成xと共に低下し、x=0.7で最小値を示した。有効磁気モーメントは、組成x【less than or equal】0.7では4f軌道にGdは7個、Ceには1個電子がある状態を仮定した理論値とよく一致したが、x=1(CeN)ではCeの4f軌道に電子が存在しない状態に、また、x=0.9ではそれらの中間的値になった。これらの窒化物のCe,GdそれぞれのL_<III>吸収端のXAFS測定し、混合窒化物中でのCe,GdそれぞれのXANES解析とEXAFS解析も行った。EXAFS解析からはCe,Gdそれぞれの原子から最近接に位置するN原子までの距離を求め、X線回折と結晶構造から得られた希土類-窒素の最近接距離とよく一致することを確かめた。XANESスペクトルの形状を比較すると、Gdがいずれの組成でもGdNのものと一致し、Gdが4f^7状態であることを示した。Ceはx【less than or equal】0.7ではCeNに近い形状に、x【less than or equal】0.5ではCeF_3に近い状態になり、磁化測定の考察から得られた結果とよく一致した。これらのことから、Ce_xGd_<1-x>N中のGdはいずれの混合比でも4f^7の状態で存在し、CeはCe濃度の低い領域では4f^1の状態を、高濃度領域では4f^0の状態になることが判った。
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