研究概要 |
本研究の目的は、鎮痛・抗痴呆活性神経ペプチド・ノシセプチンの受容体をモデルとして、分子モデリングによる構造解析を基盤とした高活性なアゴニストおよびアンタゴニストの一般的な分子設計法の確率を目指すことである。前年度に発見した高活性アゴニスト・14-15位Arg-Lys置換体について、今年度、構造-活性相関研究を行い、受容体結合能と生物活性試験(GTPγS結合試験)を実施した。また、この置換体の高活性の原因を解明することを目的として、ノシセプチンの14位を種々のアミノ酸で置換して活性を検討したところ、受容体上には14位アミノ酸を結合する本来のリガンドとの相互作用部位とは別に、通常は機能していない付加的な結合部位の存在が示唆された。このような部位の発見は、アンタゴニストのデザインに有用であると思われた。この部位を特定するため、ノシセプチン受容体の細胞外ループに存在するリガンド結合部位の点変異を実施するため変異受容体を作成した。このため、Tyr207,Trp208,Tyr207/Trp208,Phe212をそれぞれAlaに置き換えた変異体を作成した。現在、これらの活性については解析中である。一方、ヘキサペプチドライブラリーよりDooleyらが発見したAc-RYY(R/K)(W/I)(R/K)-NH_2はアンタゴニストの候補化合物として単離された。そこで、この配列と天然ノシセプチンの8-15位を組み合わせたアナログ3種を合成して、アンタゴニスト活性を検討したところ、Ac-RYYRIK-NH_2はアンタゴニスト活性を保持していたが、アナログ体は活性が失われた。そこでAc-RYYRIK-NH_2に対してC端およびN端から逐次短鎖型のアナログペプチドを合成した。それらの活性はN端部分は活性に必須であり、C端部分は1残基削除する毎に活性が段階的に低下することが判明した。
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