研究課題/領域番号 |
11780420
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生物有機科学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
山田 耕史 九州大学, 大学院・薬学研究院, 助手 (00253469)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2000年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1999年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 棘皮動物 / ナマコ / スフィンゴ糖脂質 / ガングリオシド / セレブロシド / セラミド / 神経突起伸展作用 / 構造活性相関 |
研究概要 |
本申請研究は、ナマコ由来の神経突起伸展作用性ガングリオシド成分の構造活性相関の解明を行うことを目的として、前年度において構造の明らかになったガングリオシド成分の立体化学の解明、神経突起伸展作用の評価、並びに、構造活性相関解明を行うために、以下の手順で研究を推進し、研究成果を得た。 1)ガングリオシド成分の立体化学の解明 今年度は、ニセクロナマコのガングリオシドのセラミド部の長鎖塩基末端部分のアンテイソ構造の絶対立体構造を解明するために、ガングリオシドの生合成前駆物質であるセレブロシド成分についてその解明を試みた。先ず最初に、セレブロシド分子種からアンテイソ構造を有する成分の単離に成功し、続いて、分解反応によって得られアンテイソユニットを、不斉合成によって得られた化合物と比旋光度並びにORDスペクトルデータを比較することによって、これまで未解明だった棘皮動物のスフィンゴ糖脂質成分の長鎖塩基末端部のアンテイソ構造部位の絶対立体構造を明らかにすることに初めて成功した。従って、ガングリオシド成分の絶対立体構造も同じ配置を有していることが示唆された。 2)生物活性試験 前年度に得られ、構造の明らかになったガングリオシド成分について、ラット褐色種由来細胞PC12に対する神経突起伸展作用を調べた結果、殆どのナマコのガングリオシドは神経突起伸展作用を示すことを見いだすことができた。 3)構造と活性相関に関する考察 上記のナマコ由来のガングリオシド成分に関する神経突起伸展作用試験と並行して、他の棘皮動物や哺乳動物由来のガングリオシド成分や、合成アナログ体等、様々な構造を有するガングリオシドについて活性試験を行い、構造と活性の相関について検討を行った結果、i)活性発現は、NGFの神経突起伸展作用の増強活性であること、ii)活性発現には、糖鎖構造中にシアル酸が必要であること、iii)シアル酸は糖鎖構造中の末端部に位置するほど強い活性を示すこと、iv)シアル酸は、N-アセチルノイラミ酸より、N-グリコリルノイラミン酸の方がより強い活性を発現すること、v)ナマコ類のガングリオシドの中には、近年、臨床試験等に用いられている哺乳動物由来のガングリオシドと同等もしくはそれ以上の強い活性を示す成分が存在すること、等を明らかにすることができた。
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