研究概要 |
糖転位酵素ホモログLARGEは2型膜蛋白質で、N末側にUDP-グルコース:糖タンパク質グルコース転移酵素(UGGT)、C末側にβ1,3-N-アセチルグルコサミン転移酵素(iGnT)とホモロジーを有する特徴的な構造をしている。UDP-グルコース:糖タンパク質グルコース転移酵素(UGGT)は糖蛋白質のフォールディングセンサーとしてER品質管理機構に関与するし、再グルコース化された糖蛋白質はER分子シャペロンであるカルネキシン/カルレティキュリンと結合することにより、フォールディングが完了するまでER内に滞留させる働きをしている(カルネキシンサイクル)。本年度はUGGTとホモロジーを有するLARGE蛋白質がカルネキシンサイクルに関与するを調べる目的で、LARGE蛋白質とカルネキシン/カルレティキュリンとの相互作用について検討した。 FLAG-tagged LARGE遺伝子をCOS-7細胞に強制発現させて、anti-FLAG抗体を用いた蛍光抗体染色によりLARGE蛋白質の細胞内局在を検討したところ、小胞体(ER)特異的な染色パターンを示し、またERマーカーのカルネキシン、およびカルレティキュリンとco-localizeすることが判明した。さらに、LARGE蛋白質はEndo Hに対して感受性を持つことより、ER局在蛋白質である可能性が示唆された。293細胞を用いた安定発現系でFLAG-tagged LARGE蛋白質を発現させて、anti-Calreticulin,およびanti-Calnexin抗体で免疫沈降を行うと、LARGE蛋白質が特異的に共沈することを見い出した。また、他のER分子シャペロンのPDI,ERp58,およびBiPに対する抗体で免疫沈降してもLARGE蛋白質は共沈されなかった。LARGE蛋白質とCalreticulin,およびCalnexinとの共沈はグルコシダーゼ阻害剤のcastanospermine(CST)およびtunicamycin(TU)で処理を行っても阻害されなかったことから、蛋白-蛋白相互作用による複合体形成が示唆された。GST-LARGE融合蛋白と^<125>I-CRを用いた結合実験から、in vitroにおいてもLARGE蛋白質とCalreticulinとの特異的結合が観察された。また、Calreticulinとの結合にはLARGE蛋白質のUGGTドメインが必要であることが示唆された。
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