研究課題/領域番号 |
11780444
|
研究種目 |
奨励研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
機能生物化学
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
鄭 文玉 (池田 義孝) 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (60252657)
|
研究期間 (年度) |
1999 – 2000
|
研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
|
配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
2000年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1999年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
|
キーワード | N-アセチルグルコサミン転移酵素 / GnT-III / 糖転移酵素 / 糖タンパク質 / 糖鎖 / 変異体 / 基質特異性 / Nーアセチルグルコサミン転移酵素III |
研究概要 |
N-アセチルグルコサミン転移酵素III(GnT-III)は糖タンパク質糖鎖のアスパラギン結合型糖鎖にバイセクティングGlcNAcと呼ばれるユニークな構造の形成を触媒する酵素であり、この構造が他の糖転移酵素の作用を抑制することから、GnT-IIIは糖鎖生合成を制御する鍵酵素と考えられている。本研究では、2価金属イオンの配位を通して触媒活性に必須な役割を担う二つのアスパラギン酸残基を同定した。さらに、この残基を部位特異的変異によって置換した不活性型変異体酵素を細胞へ導入することにより内在性GnT-III活性を特異的に阻害できることを見い出し、この変異体がドミナントネガティブの効果をもつことを実証した。これによって、細胞内糖鎖生合成のGnT-IIIによる制御をさらに詳細に検討できるようになり、また、これまで報告されているGnT-IIIの細胞導入による様々な生物学的な作用のメカニズムを研究出来るようになった。一方、これまでそれほど明らかになっていなかったGnT-IIIの酵素学的な性質についても検討を行った。その結果、この酵素がGlcNAcだけではなく、GlcやGalNAcも転移できることを示し、このような反応の速度論的な解析により、転移される単糖部分の2位のN-アセチル基の存在や4位の水酸基の配座などが、基質の結合段階ではなく、それに続く触媒過程において重要であることを明らかにした。GnT-IIIの基質特異性は、いわゆる基質の認識に依存するのではなく、化学的な過程に基質の構造要素を関与させることにより達成されていることが示唆された。
|