研究課題/領域番号 |
11780518
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
細胞生物学
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
鈴木 厚 横浜市立大学, 医学部, 講師 (00264606)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2000年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1999年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 上皮細胞 / 細胞極性 / 細胞接着 / プロテインキナーゼC / タイトジャンクション / PARシステム / 極性 / 密着結合(タイトジャンクション) |
研究概要 |
本年度の最大の成果は、「MDCK上皮培養細胞へのaPKCの優性抑制変異体の導入が、細胞接着によって誘導されるタイトジャンクション(TJ)形成、および上皮極性の発達を阻害する」という、一昨年発見し、昨年度に深化させた知見を論文にして発表することを目指し、裏面に示す通りこの目標を達成したことである。この中で、線虫PAR-6の哺乳動物ホモログもaPKC、ASIP/PAR-3とともに複合体を形成し、上皮細胞のTJに濃縮していることも明らかとし、上記aPKCの細胞極性形成における機能が、線虫と同様に進化的に保存されたPARタンパク質群と相互作用する中で発揮されている可能性をさらに強く示唆することができた。この論文は、哺乳動物細胞において、aPKCがPARシステムとともに上皮極性に必須な役割をしていることをはじめて示した論文であり、今後の研究の発展に結びつく大きな成果であると確信している。 一方、本年は、aPKCのキナーゼ活性が接着構造形成のどの素過程に必須な役割を果たしているのかと明らかにするために、MDCK/カルシウムスイッチの系よりも上皮細胞接着構造・極性形成過程をゆっくりと追跡できるMTD1A細胞/創傷治癒モデル実験系を新たに導入し、これを利用してaPKC優性抑制変異体の効果をさらに詳細に解析した。その結果、aPKCはE-cadherin、ZO-1などが作る初期の点状のアドへレンスジャンクション(AJ)形成には関与せず、その後この構造が上皮特有の非対称な接着構造(TJ、ベルト様AJ、およびデスモゾーム)に発達する過程で必須な役割をしていることが明かとなった。aPKCの優性抑制変異体は、上皮特有なアクチンcortical bundleの形成も阻害することから、その標的がアクチンと接着系タンパク質詳との相互作用の制御である可能性も示唆されたご今後は、こうしたaPKCの作用が具体的にどのような基質をリン酸化することによって起こっているのかを明らかとすることが、重要な課題となっている。
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