研究課題
奨励研究(A)
本研究は、精子が卵子の透明帯に結合できないために雄性不妊によるカルメジンノックアウトマウスを利用することにより、卵子との相互作用に必要な精子側の因子を同定し、受精メカニズムを分子レベルで明らかにすることを目的とする。平成11年度は、カルメジン欠損による精子受精能に与える影響を詳細に検討するため、透明帯を取り除いた卵子を用いて体外受精を行った。その結果、カルメジン欠損マウスの精子は透明帯を取り除いた卵子に対しても低い結合性を示したが、いくつかの精子は結合・融合して、受精卵を形成する能力を有していることが明らかにした。さらに受精卵を偽妊娠マウスへ移植したところ、コントロールと同様に生まれてきた。このことはカルメジンを欠損することにより、精子の卵子に対する結合能力だけが損害を受けていることを示している。カルメジンは精子には存在しておらず、精子形成の過程でのみ発現しており、受精蛋白質のシャペロンとして機能することが考えられる。そこでカルメジンの特異的な基質を同定するため、抗カルメジンおよび抗カルネキシン抗体を用いて野生型マウスの精巣サンプルをもとに免疫沈降し、カルメジンとのみ結合する約100kDの蛋白質をみつけた。現在、アミノ酸シーケンスを行っている。同定後は、抗体後を作製し、体外受精等における阻害活性等を検討する。またノックアウトマウスやトランスジェニックマウスを作製することにより、より直接的に受精への関与を調べることを計画している。
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