研究課題/領域番号 |
11780534
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
発生生物学
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
荻野 肇 奈良先端科技大, 助手 (10273856)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2000年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1999年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | 眼 / 水晶体 / 転写因子 / L-Maf / Pax6 / 小眼症 / 白内障 / 誘導 |
研究概要 |
脊椎動物の眼球形成は、細胞(網膜の原基)が外胚葉に作用し、水晶体の分化を誘導することによって開始される。本研究では、細胞からの誘導作用を受けた外胚葉で発現し、その外胚葉領域を水晶体に分化させる転写因子L-Mafの発現誘導機構を解析した。 まずL-Maf遺伝子のシス領域(-4.5kbp〜+1まで)を5'上流側から少しずつ欠失させたものをレポーター遺伝子(β-ガラクトシダーゼ)に連結し、ニワトリ胚組織に導入することによって、L-Maf遺伝子の発現を規定するエンハンサー領域(-1.0k〜-0.7kbp)を同定した。このエンハンサー領域の塩基配列を決定したところ、転写因子Pax6の結合配列が10箇所存在していた。Pax6遺伝子は小眼症や先天性白内障の原因遺伝子として知られており、予定水晶体外胚葉においては、細胞からの誘導をうける前の時期からあらかじめ発現している。 Pax6がL-Maf遺伝子の発現調節に関与する可能性についてより詳細に検討するため、転写因子Engrailedの転写抑制ドメインをPax6蛋白質に付加した融合蛋白質(Pax6-En)を発現するベクターを構築した。Pax6-Enは、野生型Pax6の機能を拮抗的に阻害するドミナントネガティブ変異体として機能すると期待される。このPax6-Enをニワトリ胚の予定水晶体外胚葉で発現されたところ、L-Mafの発現が抑制され、水晶体の形成阻害を伴う小眼症様の形態が生じた。同様な形態はL-Mafのドミナントネガティグ変異体を発現させた場合にもみられた。以上の結果は、Pax6→L-Mafという遺伝子カスケードが眼球形成の中心的役割を果たしていることを示唆しており、眼胞からの誘導シグナルは、あらかじめ外胚葉で発現しているPax6と強調的に作用してL-Mafの発現を促進するものと考えられる。
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