研究概要 |
Cdk5の個体レベルでの機能解析のため、これまでにCdk5及び活性化subunit p35の欠損マウスを作製し、Cdk5/p35キナーゼが大脳,小脳,海馬などの皮質において神経細胞のcontrolされたmigrationに基づく層構造形成にcell-autonomousに必須であることを明らかにしてきた(Ohshima et al.,1999)。しかしセリン・スレオニンキナーゼであるCdk5/p35の欠損がなぜ神経細胞のmigrationの異常をきたすのかは不明である。標的タンパク質としてPak1や、その欠損マウスの表現型の類似性などから、Reelin/Dab1シグナリングなどへの関与が推定されている。本研究ではPak1に関してはdeletion mutantの解析などからCdk5/p35によりPak1 N-terminal(1-252)のThrがリン酸化される事が明らかになった(未発表)。またReelin/Dab1との関係を明らかにするため、p35とReelinあるいはDab1の二重欠損マウスを作製し表現型を解析した。その結果、二重欠損マウスはその神経細胞のmigrationの障害がより増悪する事からCdk5/p35はReelinシグナルの直接の下流ではないと考えた。しかし、p35欠損にReelinあるいはDab1のheterozygosityか加わる事によりmigrationの増悪が認められる事から、両者は共働的に皮質神経細胞のmigrationのcontrolに寄与している事が明らかとなった(Ohshima et al.,2001)。またNIHの研究グループとの共同研究により、Cdk5の神経細胞での機能発現はマウスのsurvivalに必須である事を明らかにした(Tanaka et al.,2001)。
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