研究課題/領域番号 |
11780599
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経・筋肉生理学
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研究機関 | 岡崎国立共同研究機構 |
研究代表者 |
小林 康 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助手 (60311198)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2000年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1999年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | saccade / monkey / superior colliculus |
研究概要 |
サルのサッカード反応時間を指標にして報酬による動機付けのメカニズムを解析した。学習、注意、覚醒、睡眠、運動制御の調節と密接な関係にあるとされるコリン作動性システムに注目して解析を行った。上丘中間層へのコリン作動性入力はニコチン受容体を介してサッカードの開始を促進する。この上丘中間層へのコリン作動性入力は脚橋被蓋核(PPTN)由来であり、PPTNニューロンがサッカードの反応時間を調節しうる発火活動を示すことを報告する。サルの視覚誘導性サッカード課題において、報酬量を増加させると課題の成功率が上昇すると同時に課題開始時に点灯する注視点に向かうサッカードの反応時間が顕著に減少するという行動実験の結果を得た。さらに、報酬量を変化させると注視点へのサッカードの反応時間が変化すると同時にPPTNニューロンの注視点点灯に対する視覚応答が変化するという実験結果を得た。この反応は注視点に向かうサッカードの反応時間や課題の遂行度合い〔成功率〕という動機付けやglobal attentionを反映する指標と密接に関係していると思われる。これらの実験結果はPPTNが動機付けや学習を直接制御していることを示唆するラットやネコの破壊実験と一致すると思われる。また、PPTNにおいて報酬に対する直接の反応と報酬に対する予測反応を得たが、この活動は、PPTNが黒質緻密部(SNc)に投射しており、この入力がSNcのドーパミン作動性ニューロンの報酬の予測的反応(強化学習の誤差信号)の形成に寄与していると考えられる。PPTNニューロンにはサツカード遂行、注意や動機付け、報酬に関係した入力が収束することからPPTNが学習におけるこれらの信号の連合に関係していることが予想される。
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