研究分担者 |
中野 博民 茨城大学, 工学部, 講師 (90257329)
近藤 良 茨城大学, 工学部, 助教授 (90186867)
周 立波 茨城大学, 工学部, 助教授 (90235705)
渡部 和 日立ビアメカニクス(株), 副技師長
清水 淳 茨城大学, 工学部, 助手 (40292479)
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研究概要 |
本研究は,口径φ300mmのSiウエハを粗さがnm級,平坦度が0.25μm以下,しかもダメージフリーに加工することを目標とし,現行のラッピング,エッチング及びポリッシングの3工程をすべて研削加工に置き換えて,固定砥粒によるone-stop加工機械とその中核技術の開発および実用化を行った.本年度の研究成果が次のように要約できる. 1.本加工システムは,下記の4つの中核技術を開発し,所期の目標を実現した. ●ハイブリッド送り機構:延性モードの研削を実現する定切込み送り機構とポリッシングライク仕上げが可能な定圧切込み機構を混載して,NC制御により切り替えして,加工能率および加工歪みの最小化を両立した. ●超磁歪を援用した位置決め機構:超磁歪材料の出力パワーおよび応答速度を活用して高出力・高分解能のアクチュエータを開発した.750kgfの荷重を0.6nmの精度で位置決め可能になり,Siのような硬脆材料の延性モード研削を実現した.上述のハイブリッド送り機構と合わせてRa<1nmの表面粗さを実現した. ●超磁歪を援用したアライメント(姿勢制御)調整機構:同じ超磁歪アクチュエーターの駆動により,Siウエハに対して,3自由度,10^<-2>秒の精度で砥石がアライメントできる機構を開発した.それによって,中心部に中凹の形状と相殺して,高いグローバル・フラットネスを実現した. ●加工液濾過・循環システム:このシステムは,加工部にクーラントを供給するだけでなく,恒温,クリーンな純水を加工局所に大量に与えることにより,加工環境の領域のみ,局所クリーンルーム化を実現した. 2.工具の開発においては,極微粒ダイヤモンド砥石の設計・製作およびそのツルーイング・ドレッシング技術の開発を行った.1枚の砥石を用いて現行の1/6の加工時間で所期の目標値を達成した.さらに完全なダメージフリーを目指して,新たにChemo-Mechanical Grinding用砥石を開発し,転位密度を1/30まで低減した. 3.プロセス技術の開発に関しては,システム・工具・工作物の剛性を考慮したシミュレーション手法を開発し,仕上げ面粗さと平坦度に対する影響を明らかにした.またインフィード研削の3次元モデルを構築し,砥粒軌跡とその密度の影響を理論的に解明し,仕上げ面粗さを最小化すると同時に,ウエハ平坦度を向上するために上記の姿勢制御機構に与える最適な調整値を算出した. 以上の成果が認められ,精密工学会よりH13年度の学会賞が贈られた.
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