研究概要 |
本研究は下記の2つの目的をもつ. 1.高年齢者の生活支援のための福祉用具の開発 人間は加齢とともに体力・筋力・認知能力等が低下し,このために通常の生活内のいろいろなものがバリアーとなって生活に支障が生じる.バリアーを解消し高年齢者の生活を支援する用具として,次のものを開発し,人間工学的実験によりその効用を確認した. (1)家屋内手すり-階段昇降を支援し転落防止に役立つ手すりの規格を実験により確率した. (2)多段型階段-1間以内の長さの階段について従来型の踊り場と新開発型(円形多段)の比較実験をした.新開発階段が好意度が高かったが,人間工学的有効性の確認はえられなかった. (3)ジュース等缶オープナー-指先を使用しないでプルタブを開けるオープナーを開発し,筋電図によりその有効性を確認した(意匠権出願,却下) (4)簡易モーターつき車イス-4Vバッテリーと小型モーターつき車イスを開発し,6度の傾斜を自力で上ることを確認した. (5)段差解消機(車イス用・歩行用)-40cmまでの段差を電磁モータで上昇する補助具を開発し,その有効性を確認した. (6)車イスつき移動車-ベッドから車イスに移載し,そのまま車イスとして使用できる補助具を開発し,本人および介護者の負担を軽減できることを動作分析等で確認した 2.地域企業群との連携による補助具開発・支援事業 呉市内の「企業活性化推進委員会」,広島市内の「新分野製品融合化グループ」との連携を保ち,いくつかの提案を行った.後者が簡易型車イスの開発を手がけているが,もっとも近い呉市企業群に関しては経済的支援問題,モチベーションの点で活性化することができなかった.ただし,段差解消機(車イス用)については近畿地方の松下電工(株)で作製・販売することに至った.続いて人間用段差解消機について接触中である.
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